こんにちは、まるみです。
前回のブログ記事でもお話ししたように、発達クリニックを初めて受診した日に、自閉症スペクトラムとADHDが判明した息子ソウタ。
その二次障害として、強迫性障害が起きてしまっていることも分かりました。
発達障害の詳しい症状を知るための知能検査は、それから2週間後ということになりましたが、まずは強迫性障害を軽くしていく治療に入ることになりました。
初めて精神系の薬を子どもに飲ませることになり、やはり不安感がありましたが、「これでソウタがラクに過ごせるなら」と薬物療法を開始。
今回は、息子が飲んでいるお薬のことや、その後の経過についてお話ししていきます。
目次
発達障害の二次障害として表れた「強迫性障害」
強迫性障害とは
息子の強迫性障害の症状や、治療経過についてお話ししていく前に、まずは強迫性障害(OCD)について簡単にお話ししていこうと思います。
強迫性障害/強迫症(Obsessive Compulsive Disorder:OCD)は、昔は強迫神経症と呼ばれていました。わかりやすく言えば、「分かっているけどその行為(思考)をやめられない」という病気ですね。このOCDは、不安障害の一種として分類されています。
具体的にはどのような症状が出るのか、見てみましょう。
OCDの症状例
- いくら手洗いをしても汚れていると感じ、手を洗い続ける
- 火の元の確認を何度しても不安で、外出できない
- 人に危害を加えてしまうのではと、加害不安を感じる
- 不吉な言葉や数字が勝手に心に浮かんでくる
これは強迫性障害のほんの一例です。これ以外の症状が個人個人で違ってくることも多々あります。
息子のOCD症状
我が家の息子ソウタは現在2年生なんですが、この強迫性障害がハッキリ現れたのが小学1年生の冬でした。息子のOCD症状には以下のようなものがありました。
ソウタのOCD症状
- 学校への忘れ物がないか何度もランドセルの中身を確認する
- 時間割を間違えていないか朝に何度も確認をする
- 目のチック
息子の強迫性障害が目立ち始めていた時期は、「自閉症スペクトラムとADHDの疑い」という話も出ていたので、息子特有の「こだわり」の延長線にあるものと捉えていました。
ですが、チックの頻度が多くなり、その動作が大きくなってきたことで、「あれ?今までとちょっと違う」と気付くようになりました。
まるみ
そして、「なんだか学校に行けない」と本人が私に訴え、ついには不登校に。そこから発達クリニックの予約~初診まで約3カ月弱待つことになるのですが、良くなったり悪くなったり…を繰り返す日々でした。
子どもの強迫性障害
どんな子供がOCDになりやすいのか
大人の強迫性障害は聞いたことがあったのですが、「子どもでも、なるもんなの?」と疑問を抱いた私。発達クリニックの先生に聞いたところ、発達障害を含め、アンバランスさを持っている子どもの中では珍しいことではないようです。
OCD研究会主催のサイトで分かりやすいコラム記事を見つけましたので、ここで紹介させてもらいます。
世のなかのOCDのお子さんの全体をみると、いわゆる従来の神経症というような人も少なくないのかもしれないけれど、私のところだと、チックや発達障害寄りの方が多いと思います。
教科書的にみても、子どものOCDでは、チックやAD/HD(注意欠陥・多動性障害)の併発が多いとか、男の子に多いとかいわれているように、大人のOCDと比べると違うところがあります。そういう意味では、当外来は子どものOCDの患者さんのかなりの部分をカバーできているのではないかと思います。チックがあるとか、発達的なアンバランスがあるとか、男の子に多いとか、教科書的な特徴に合致します。
強迫症状の種類では、「ピタッとしないと気が済まない」とか、対称性に関する症状などが強い人が結構いらっしゃいます。不潔恐怖で手洗いをする人もいないわけではないんですが、むしろそれ以外の症状の人が多いです。
これも教科書的にいわれていることですが、年齢が低ければ強迫行為が目立ちます。
※赤字の強調部分は当ブログの編集によるものです。
このコラムでお話ししているのは、東京大学医学部附属病院こころの発達診療部 金生由紀子先生です。これらの条件がすべてではないとは思いますが、金生先生によるとOCDで悩んでいるお子さんにはこのような傾向があるようですね。
まるみ
息子の場合は小学校入学が引き金だった?
息子ソウタの場合、強迫性障害の引き金となるものは何だったのか。そこが分かればこれからの治療の手助けになるだろうと考え、発達クリニックの先生や、プレイセラピーの臨床心理士さんとの話の中で、そのポイントとなったものをまとめてみました。
- 自閉症スペクトラム
- ADHD
- 小学校への入学による環境の変化
息子の場合は、この3つの要因が混ざり合ったのではと言われました。
息子は幼稚園時代、いわゆる「お勉強系幼稚園」に入っていました。規律を重んじる私立幼稚園で、近所でも「厳しい」と有名な幼稚園です。
ですが、こだわりやルール順守など、彼の持つ特性を考慮した結果、この園の方針であれば息子も過ごしやすいだろうと、入園させた経緯があります。
そのおかげか、3年間彼は大きな問題を起こすこともなく、楽しく過ごしていました。
まるみ
規律を重んじる幼稚園を卒園後、公立の小学校に当然ですが進学。そこで、幼稚園ではいないタイプのお友達と多く出会います。(同じ幼稚園だったのは、クラスで他に1人だけでした。)
幼稚園では親の教育方針が似ている子どもが多かったですが、当然小学校ではそうはいきません。このギャップが本人の中では大きかったのではないか、と指摘されました。
入学後、友達はたくさんできたのでほっとしていたのですが、「宿題をしてこない」「先生の話を全然聞かない」「禁止されていることを平気でする」と、よく同じクラスの子の文句を言っていたんですね。
そのたびに私は「そんなの気にしなくていいよ~」「いろんな子がいて当たり前なんだよ~」「人のことより自分のことだよ~」と流していたんですが、これが積もり積もっていったようです。
まるみ
息子のOCD治療とその後の経過
抗不安薬「クロチアゼパム」を処方される
というわけで、発達クリニックの先生との話し合いで、とりあえず自閉症スペクトラムやADHDへの対処の前に、本人が一番つらく感じている強迫性障害を和らげていこうということになりました。
自閉症スペクトラムとADHDは長い付き合いになるわけですが、強迫性障害は治療で改善する病気だからと言われ、ホッとした部分もあります。
子どものOCD治療には、薬物療法と精神療法があります。ソウタはこの2つを並行して行っていくことになりました。薬物療法は病院で抗不安薬を処方してもらい、精神療法は大学施設のプレイセラピーに通っています。
息子は、抗不安薬(精神安定剤)の「クロチアゼパム」を処方されています。このクロチアゼパムは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬で、その中でも短時間型のものになります。
抗不安薬の効果の比較表
息子が飲んでいるクロチアゼパムは、上から2番目に記載されているリーゼのジェネリックになります。
この短時間型抗不安薬は、効果のピークは1時間未満、作用時間は3~6時間です。即効性を期待して飲むもので、頓服(必要な時だけ飲む)のお薬になります。
薬物療法を始めてからの変化

息子に処方されたクロチアゼパム
クロチアゼパムは、息子の場合は1日2回1粒ずつ(5㎎)という処方量でした。とても弱いお薬で、薬物依存の心配はほとんどないという医師・薬剤師からの説明で、やや不安を感じながらも服用を開始しました。

超小粒だから子供でも飲みやすい
まるみ
息子の場合は、2日目くらいから効果をしっかりと実感できました。どんな変化があったかをまとめておきます。
抗不安薬を飲んでからの息子の変化
- チックの大きさ・頻度が減った
- 友達の行為をとがめる気持ちが減った
- 時間割変更への不安感が減った
- 夜驚(やきょう)症がなくなった
これ、けっこう私的にはかなり大きな変化です。「友達の行動に対する不安感」や「予定変更に対する恐怖感」が減少しているのが見て取るように分かりました。
本人曰く、
ソウタ
とのことです。
昼間の不安感が減り、ストレスも軽くなったのか、2週間に1~2回はあった夜驚症(夜泣きみたいなもの)もその後見られなくなりました。そして、チックもだいぶ軽くなってきてくれたのもホッとしました。
後日、発達クリニックの先生にこの変化を伝えたところ、「ほんと弱いお薬だからね~。ここまで変化があるってことは、ソウタ君の思い込みもちょっとあるかもね。ハッハッハー」と言われました。
母としては、思い込みでもなんでもいいので、良くなってくれりゃぁいい!って話です。
まるみ
現在はイベント前日夜・当日朝に抗不安薬を服用中
その後も抗不安薬「クロチアゼパム」は継続して処方してもらっています。最初は継続して1日2回飲ませていましたが、「心が安定してきたら必要な時だけでいいよ」という発達クリニックの先生の助言にしたがって、頓服薬としてつかっています。
息子の場合は以下のような状況の時に、前日夜と当日朝に飲ませています。
息子が抗不安薬を飲むタイミング
- 学校の行事(授業参観や運動会など)
- 時間割が変更になる日
- 知らない場所に出かける時
とくに4月5月は学校も新入生が入ってきたり、身体測定があったり…と、通常授業がなかなか行われないので、ほぼ毎日飲んでいました。
小学校では、運動会だったり文化祭だったりと、大きな学校行事に合わせて時間割変更などもよくありますよね。ソウタはそのような変化に対応するのが難しい面があり、その部分で不安を抱えやすくなります。
そのような時間割変更が行われるときは、前日の夜から飲み、当日朝もしっかり飲ませて学校に行かせるようにしたら、「ドキドキするのがなくなった」そうです。
まるみ
さいごに
というわけで、今回は息子の強迫性障害や、その投薬治療についてお話ししてきました。精神系のお薬が初めて、しかも大切な息子に飲ませる…とあって、やはり恐怖心がありました。
ですが、発達クリニックのお医者さんや調剤薬局の薬剤師さんが、これでもかと懇切丁寧に説明してくれたので、納得して薬物療法を開始することができました。
私の場合は、「飲ませて良かった。息子がラクになれてよかった。」と思えましたが、これも納得した上だったからだと思います。
もしお子さんへの投薬に不安を感じるようであれば、とにかく納得できる答えをもらえる医師や薬剤師さんと出会うことが大切だと私は考えます。