中学受験で塾はいつから通わせるべき?低学年の通塾4つのデメリット

こんにちは、まるみです。

前回の「中学受験対策の塾はいつから?元塾講師が教える早期通塾3つのメリット」という記事で、低学年(1~3年生)から通塾させることのメリットについてお話ししました。

 

今回は、メリットの裏側に隠れがちなデメリットと、「結局のところ塾にはいつから行かせるべきなのか」について、詳しくお話ししていこうと思います。

親御さんの「塾にいつから行かせるか」の考え方をまとめることに、お役に立つことが出来れば幸いです。

低学年から塾に通わせることのメリット

ママラク

このページを読んでいただいている方のお子さんは、今の時点では低学年(1~3年生)かと思います。この学年では特に、塾に早くから通わせることのメリットとデメリットの影響が大きくなることを覚えておいてください。

「勉強すること」に慣れ親しみ始めた子どものその先の学習姿勢を左右するのは、親の役目です。お子さんのことを知っている親だからこそ、メリット・デメリットを知ったうえで「塾にいつから通わせるか」を上手に判断することができるようになります。

 

まず、前回もお話しした「低学年のうちに塾へ通わせるメリット」には、下記の3つがあげられます。

早期通塾のメリット

  • 学習リズムや生活リズムが作りやすい
  • 本格的な中学受験クラスになじみやすい
  • 親がラクを出来る

それぞれのメリットや注意点については前回の記事を読んでいただくとして、これらのメリットから安易に「どうせなら早く行かせて中学受験をスムーズにさせたい」と考えるのはとても危険です。

メリットとデメリットは表裏一体であることをしっかり認識しておきましょう。

 

通塾には4つのデメリットを考慮して

学習机 黒板 教育イメージ

では、元塾講師から見た「低学年のうちから塾に通わせること」のデメリットを4つ挙げていきます。

 

1.勉強を「苦行」ととらえてしまう

幼児期や就学前~低学年における早期教育は、いまだに賛否両論がある事案です。その“否”の理由のひとつに「勉強嫌いになりやすい」ということがあります。

特に小学生になってからは「勉強しなさい」「〇〇中学に受からなければいけないの」と、親が必死になればなるほど、子はそれに応えようとします。大好きなお父さんとお母さんに喜んでほしいからです。

でも、この必死に勉強する時期がながくなるほど、息が切れてしまう子が増えます。

 

通塾にかかる時間も、息切れしやすい要因のひとつです。近所の学習塾ではなく、遠い中学受験対策をあつかう大手の進学塾に通う子どももたくさんいます。

そして塾からやっと帰ってきても、学校の宿題や明日の授業の準備、食事、風呂…などバタバタ。息をつく時間も少なくなります。

これでは、精神的にも、体力的にも疲れてしまいますよね。低学年はまだ体力がなく、また精神的な疲労も体力に影響しやすくなります。

 

この状態をつづけることで、「勉強はつらいもの」「勉強は楽しくない」という思考になってしまい、中学受験本番の頃には息切れをしてしまう子もたくさんいるのです。

 

2.学校の授業に意欲的になれない

中学受験対策をおこなう進学塾では、どうしても先取り教育を避けては通れません。そのため、低学年のうちは学校と塾の進度や難易度の差にギャップを感じてしまいます。

気が付けば、今やっている学校での学習内容は、塾で半年や1年前にしたこと…なんていうこともザラに怒るようになります。この時、子どもが「知っているから学校では頑張らなくていいや」「僕は(学校の)友達が頭がいいから大丈夫」と、学校での授業を軽んじてしまうデメリットがあるのです。

 

「塾で難しいことを勉強しているんだから、学校の授業や宿題なんて適当でいい」と考える親御さんもいますが、これは危険です。

この「周りよりできている」状態が慢心となり、最終的に成績がふるわなくなってくる子も多いのです。幸運なことに中学受験で合格が出来ても、中学に入った時点から成績が落ち始める子を知人、教え子で何人も見てきました。

 

3.友人や家族と過ごす「自由時間の大切さ」

ママラク

塾での拘束時間が長くなればなるほど、友人や家族と過ごす自由時間はおのずと減っていきます。「中学受験のためにはそのくらい犠牲にしないと」という意見もありますが、本当にそうでしょうか?

自由時間で培われる思考や人間関係は、学習の理解度へも大きく影響してきます。お菓子などの分配方法、おもちゃを使った空間把握などは、自然と身に着けてこそ問題の理解が深まります。つまり、実体験がものをいうのです。

 

また対人関係の積み重ねが、想像力・読解力を養うことを知らない親御さんも多いようです。幼いうちは「自分の考え方」しか子供はしりません。自分とは違う他人の「考え方」を知ることは、問題文を客観的にとらえる練習にも役立ちます。

「そんなの、学校があるときに友人と過ごしているからいいでしょ」と感じる方もいますが、先ほどお話ししたデメリットの「学校の授業に意欲的になれない」子供は、友人との関係も軽んじやすい傾向があります。

 

反対に、「授業を軽んじる」「友人関係を軽んじる」の2点を子供だけでなく、親もクリアできるのであれば、このデメリットは消えると考えてもいいでしょう。

 

4.塾にかかるトータルの費用が高額になる

塾に通うことで、避けては通れないのが授業料の負担です。早いうちから塾に通うことで、中学受験終了までトータルの授業料は当然高くなります

中学受験対策をあつかっている大手進学塾の授業料を、4年生から6年生まで簡単にまとめてみました。

 

学習塾名学年授業料(月額・税込)
SAPIX
(4教科)
38,880円
49,680円
56,700円
早稲田アカデミー
(4教科・私国立中受験)
26,000円
40,600円
41,600円
日能研
(4教科・教材費別途)
20,520円
25,272円
30,132円
四谷大塚
(4教科・本科コース)
32,000円
40,000円
51,500円(9月以降71,500円)

※日能研は教材費・副教材費が別途かかります。

MEMO
受講科目が2科目の場合は上記の受講料よりも安くなります。また、塾の地方校などの場合は授業料が安い場合もあります。

 

ざっと見るだけでも、それほど塾によって大きな差はありませんね。

1~3年生のうちはどこの塾でもそれほど大きくない金額ですが、4年生以降はぐっと授業料が高額になりはじめます。

現在中学受験の世界では、4年生から(遅くても5年生から)の通塾は必須になります。つまり、低学年のうちから塾に行かなくても、毎月安くはない授業料の負担がいつかは必要になってくるのです。

 

塾によって違いはありますが、月々の授業料以外にも下記のような費用がかかります。

  • 入塾金
  • 年会費
  • 特別講習費(夏期講習など)
  • 特別講習時に必要な教材費
  • 模試受験料

 

 

中学受験のために塾はいつから通わせるべきか

地元の中学受験事情をしっかり把握してから

首都圏や地方では、当たり前のことですが中学受験の事情は大きく異なります。4教科が必須の地域もあれば、2教科でほとんどの中学受験が可能という地域もあります。

受験科目数が多くなれば、それだけ勉強時間も必要ですし、親や塾のサポートも必要になってくるでしょう。

 

まずは、希望する中学校の受験内容や実情を調べることを優先しましょう。もし調べることが難しければ、地域で「中学受験対策」をうたっている塾に、その旨を聞いてもいいです。

その際、「早めに塾に入った方がいい」と不安感をあおるような営業トークをされるかもしれませんが、心配する必要はありません。

上記の「メリット・デメリット」をしっかり踏まえたうえで、入塾の検討をゆっくりすればいいのです。

 

「中学受験用進学塾」のカリキュラムがスタートするまでに入塾を

多くの進学塾では、4年生から本格的な中学受験対策のカリキュラムがスタートします。

大手の進学塾であっても、1~3年生までは難易度はやや高いながらも基礎の訓練が中心ですが、4年生からは一気にスピード&難易度がアップしていきます。

 

これを踏まえると、「いつから塾に通わせるのが一番いいのか」と疑問に対する、私の答えとしては「本格的な受験対策カリキュラムが始まる前の3年生秋~冬」となります。

このタイミングで入る場合は、1~3年生の基礎が抜けていないか、苦手なところはないかを入塾前にしっかりと確認しておきましょう。

 

MEMO
塾によっては、3年生の2学期や2月から受験対策カリキュラムがスタートする場合もあります。そのため、遅くても3年生の夏には塾の検討を始めましょう。

 

もし、親御さんの判断で5年生からの入塾になったとしても問題はありません。ただ、この場合は4年生から受験対策クラスで先取り学習をしている生徒たちに、5年生での入塾時点で追いついている必要があります。

自宅での学習を習慣化できており、親御さんのサポートもしっかりしているようであれば、それほど無理なことでもありません。

また、大手の進学塾主催の公開模試などを受験して、客観的な順位を把握しておくこともオススメします。

 

中学受験に「通塾は必須」!レアケースの体験談を鵜吞みにしない

特にインターネット上の話になりますが、よく「5年生の後半から塾に通って難関中学校に合格した」「6年生から対策しただけで中学受験に合格できた」という体験談を目にします。

ですが、これらはウソもしくは完全なるレアケースだと考えてください。

 

これまで数多くの子供たちを見てきましたが、正直言って私の経験ではこんな子はいません。よっぽどの天才か、進学先が偏差値の低い中学校のどちらかです。

これらの体験談をうのみにして「うちの子も、もしかして…」なんてお気楽に構えていられるほど、中学受験はあまくありません。

 

中学受験は「目的」ではなく「通過点」

さいごに、少し話がそれてしまいますが、中学受験を「目的」にしてはいけないというお話しをしておこうと思います。

塾講師は「親や子が願う進学先」をサポートする役目です。そのため、どうにかして合格をつかみ取らせてあげようと必死になります。その末、いわゆる難関中学校に進学できた子もたくさんいます。

 

ですが、中には中学校に入った途端、生成不振に陥る子どもも少なくありません。「あんなに優秀だったのに、どうして?」と不思議に感じて、本人にそれとなく聞いてみると、「目標の中学校に入ったら、この先何を頑張ったらいいのか分からなくて」というのです。

なぜこのような状況になるかというと、本人が親が「〇〇中学校に入る」ことしか勉強の目的にしていなかったためです。そのため、中学校に合格したと同時に燃え尽きてしまったんですね、親も子どもも。

 

これはもったいないことですし、ちょっと悲しいこと。「中学受験」は将来への道の「中間地点」なだけで、ゴールではない。これは中学受験だけでなく、高校受験、大学受験でも同じことが言えます。

この「中間地点」のとらえ方は親子によって変わってくると思いますが、視点を変えてみるだけも、ずっと中学受験が楽しくなるはずですよ。